多系統萎縮症を発症すると、パーキンソン病によく似た症状があらわれる患者さんが多いようです。パーキンソン病は神経伝達物質の一つであるドーパミンの減少によって生じる病気で、日本国内だけでも10万人以上の患者さんが存在する比較的ポピュラーな病気です。主な症状としては手足の震え、歩行障害その他の運動障害、便秘や立ちくらみ、睡眠障害、抑うつなどが挙げられます。
多系統萎縮症においては、とりわけ「線条体黒質変性症」の病型に類似の症状が見られ、治療法もパーキンソン病に準じた手段が有効だといわれています。ただし、病状が悪化しているケースではパーキンソン病の治療薬が効果を発揮しないケースも多く、病状の進行も多系統萎縮症の方がかなり早いといわれています。また、パーキンソン病が体の片側から症状が始まり、他の部位へ進行するのに対して、多系統萎縮症の場合は左右均等に症状が発症・進行する点にも違いが見られます。
しかしながら、発病年齢(ともに中高年の男性に多い)、症状が類似しているため、両者はしばしば誤診されるケースもあるようです。いずれも難病ではありますが、パーキンソン病については有効な治療薬があること、症状の進行が遅いことなどから、生命予後(余命)にはほとんど影響を及ぼしません。多系統萎縮症の患者さんが発病後は数年で寝たきりになり、10年以内に死亡する例が多いことを考えると、両者は似て非なるものということができるかもしれません。

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