多系統萎縮症は治療方法の確立されていない難病ですが、一部の患者さんには、鍼治療による症状の改善が認められます。鍼灸治療においては、多系統萎縮症そのものを「完治」することはできませんが、人間が本来有する自然治癒力を引き出すことで、症状の進行を遅らせ、もしくは障害を緩和し、「生活の質を高める」ことを目的とします。例えば、手足の運動障害については、血行を促進するためのツボを刺激し、神経の活性化、障害の緩和が期待できます。当院では多系統萎縮症の患者さんの他にも、パーキンソン病、脊椎損傷などのケースで、鍼治療による運動機能改善が行われています。
この他、自律神経障害(排尿障害、便秘、インポテンス、発汗異常)を治療する目的で鍼灸を利用される患者さんも多く、かなり高い水準で効果が認められています。ただし、鍼灸は即効性を期待できるタイプの治療法ではないので、中長期的に通院を続けることを心がけなくてはなりません。また、重症化した患者さんについては十分な効果を発揮しないケースも見られます。できるだけ早期の段階で治療を始めることが大切です。
鍼治療と並行して、一般の医療機関でも治療は継続しなくてはなりません。どちらか一方だけを選ぶのではなく、西洋医学・東洋医学、両方の観点からアプローチした方が良い結果を得られるケースは多いようです。鍼を始めたので一般の医療機関での治療をやめる、というような極端な判断は控えてください。

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